本校では、通常のカリキュラム以外に、どの学科の学生でも自由に受講できるセミナーを実施しています。学科の垣根を越えた幅広い技術や知識を身につけることを目指します。
セミナーPICK UP
「腹横筋の機能を探る」
理学療法科
深堀 辰彦 先生
コア(体幹筋)は、スポーツ分野からダイエットなどの美容分野に至る各分野で着目されています。体幹筋には、腹直筋・腹斜筋・多裂筋・棘筋などの筋肉があります。セミナーでは、最深部にある腹横筋に着目し、その機能を考え、コアトレーニングを紹介します。
「臨床における検査画像」
診療放射線科
岡本 篤志 先生
日進月歩でAI(人口頭脳)などを使った新しい機器やそれに沿った治療法が開発される世界の医療分野。最先端をいく日本の医療水準をさらに上げるための各科横断的な診療の重要性が増しており、対応能力のある人材養成が急がれています。救急やCT,IVRの専門認定技師資格をもつ教員が、最新の臨床に基づいた視点で、症例を使って解説します。
「医療従事者が行うBLS
(世界と比べた日本の救命率)」
看護科
平井 亨樹 先生
医療従事者として、患者様の急変時の対応は不可欠なものです。そのときにどのように対応するのか、緊急時のバイタルサイン測定(呼吸、脈拍、血圧、意識等)を実技形式で行います。世界と日本の救命率を比較しながら幅広い知識を身につけるよう指導します。
「スポーツテーピング(球技編)」
柔道整復科
小礒 嘉貴 先生
プロ・アマ問わずスポーツの現場で活躍できるよう、授業で学ぶ基本的なテーピングに加え、競技特性なども考慮した応用的なテーピングを取り上げます。私が以前メディカルトレーナーとして活動していた時の経験を踏まえ、実際の症例を紹介しながら独自のテクニックを加えたテーピングの指導を行います。
「経絡アロマトリートメント」
鍼灸科
實松 沙織 先生
アロマテラピーは、香りによる癒しはもちろんのこと、さまざまな効果が期待できます。そのアロマテラピーと鍼灸治療を合わせた『アロマ鍼灸』を学べるのが本校の特色です。セミナーでは、全学科対象でアロマオイルを使って経絡の流れを整える『経絡アロマトリートメント』を中心にした、本校独自の技術が学べます。
※その他、数多くのセミナーを開講しています。
・整形外科疾患に対する歩行訓練
・潜在能力を引き出すPNFテクニック
・簡単!健康エクササイズ
・キネシオロジーに基づいた治療
・MRIについて
・災害医療〜わたしたちができること〜
・緩和ケアにおける医療者の大切な役割
・ベビーマッサージ
・完全マスター包帯法
・アトピー性皮膚炎の治療と日常ケア
・経絡テストの実践
・リンパ浮腫治療
・組織学Histology
・深部腱反射の診かた
・トレーニング理論・実施
・放射線検査の読影法
・女性のからだ〜性周期ホルモンについて〜
・バイタルサイン測定(呼吸、脈拍、血圧、体温、意識)
・整骨院・鍼灸院を開業するには
・痛みを改善する施術のためのストレッチング
・痛みのポイント治療『トリガーポイント』
・耳つぼ健康法
セミナー報告
アトピー性皮膚炎の治療と日常ケア 平野 木代衣
今回のセミナーに柔道整復科2年生1名、鍼灸科1・2年生16名の計17名が受講してくれました。
まずはじめに、アトピー性皮膚炎の原因、自宅でできるタオルによる乾布マッサージやタワシ療法、オイルの紹介をしました。その後、鍼灸師としての診断ポイント、薬の話、刺絡・施鍼・施灸・刮などの治療方法を指導。実際のアトピー性皮膚炎の患者に対してのデモンストレーションを実施し、刺絡・施灸治療の見学をしました。
受講者からの質問が随時行われ、活気のあるセミナーとなりました。次回もみなさんのご参加をお待ちしております。
MRIについて 市原 隆洋
MRIはX線を使用しない検査方法であり、様々な画像を得られることから種々の機能検査に役立ちます。しかし、MRIの原理が難解なため、その本来の能力やさらなる応用法などがあまり知られていません。
今回のセミナーでは、MRIで分かることや他の検査法との違いについて、診療放射線科以外の学生にも理解できるように、難しい理論は抜きにして優しく解説。将来、自分や家族が病気やけがをしたとき、また、患者様の診断や治療効果に苦慮している時などにきっと役に立つであろう内容でした。
リンパ浮腫治療者 滝沢 裕子
リンパ浮腫治療セミナーについて紹介します。
11月に導入編を3回、1月に基礎編を3回行いました。座学と実技を合わせて3時間ずつのセミナーでした。担当した教員は、ドイツのフェルディクリニックで約3週間の講習を修了した5人です。セミナーにはたくさんの受講生が参加してくれました。男女の割合は2:8ぐらいで、圧倒的に女性が多く、リンパ浮腫に悩んでいる患者さんの比率に似ているようでした。
座学ではリンパ浮腫治療とエステのリンパマッサージの違いを説明し、このセミナーは未来の医療従事者にリンパ浮腫治療の知識と技術を身につけてもらうためのものであることを理解してもらいました。リンパ浮腫とは、「リンパの輸送障害に組織間質内の細胞性蛋白処理能力不全が加わって高蛋白性の組織間液が貯留した結果起きる臓器や組織の腫脹」(国際リンパ学会定義より)と定義されています。この難しい内容を、画像を取り入れわかりやすく説明しました。受講生からの質問で多かったのは、「なぜリンパ節をとると浮腫になるの?」でした。乳がん・子宮がん・卵巣がん・前立腺がんなどで手術をした際に、リンパ節やリンパ管が傷つくと、リンパ液がうまく流れなくなり蛋白濃度の高まった組織液が腕や脚にたまってしまいリンパ浮腫が起こります。日本にはがん治療の後遺症で起こる二次性リンパ浮腫の患者さんが多いけれども、諸外国には一次性(原発性)の患者さんも多くいます。受講生は解剖学や生理学の授業で習った血液・リンパの章を思い出しながら熱心に聞いていました。
実技は、Tシャツ短パンに着替えて行いました。導入編ではMLD(マニュアルリンパドレナージ)と圧迫療法の基本テクニックにチャレンジしてもらいました。MLDとは、皮下にたまった組織液を減らし、リンパ液の流れを改善させるために行う手技で、手掌を患者さんの皮膚に密着させた状態でリンパ液を誘導したい方向へゆっくりと圧をかけ徐々に圧を抜いていくものです。見た目以上にソフトなタッチで行うMLDを体験すると受講生は驚いた表情をみせ、「こんな柔らかい手技で本当に治るの?」と半信半疑のようでしたが、座学で学んだリンパの解剖・生理の内容とリンクすると納得したようでした。基礎編では上肢浮腫のMLDの圧迫療法の練習をしました。
「次回のセミナーはいつあるのですか?」と受講生からうれしい声がありました。次回も皆さんの参加をお待ちしています!
組織学Histology 坂 逸平
組織学セミナーを紹介します。今回は、組織学の基本を中心に行いました。以下にそれを記します。
まず、上皮組織から単層扁平上皮・重層扁平上皮・単層円柱上皮などを、各種ヒト臓器から製作したプレパラートと、約100倍から300倍ぐらいの倍率に設定した顕微鏡(種類の異なるものを5台を使用)を使用し、覗いて実際に観ていくことからスタートしました。組織学の参考書(Atlas of human Histology 〔Mariano & S.H. DS FLORE : LEA & Febiger, Philadelphia 〕と組織学〔伊藤 隆著、南山堂〕を使用)で、顕微鏡の中身とを比較しながら、各種標本のスケッチをしました。その過程において、組織の構築を考察していきました。
さらに、神経組織(大脳皮質など)や心筋をも観察し、普段の授業では体験することが難しい方法で、解剖学のスキルアップを図りました。
このセミナーを通して、将来解剖学anatomyが病理学pathologyに、そして病理学が臨床医学general medicineへと繋がる関係を体験できたと思います。今回使用した研究材料は、私が法医病理を大学院で専攻し、またその後ポストドクで大学に在籍した際のもので、それらを中心に勉強してもらいました。参加された皆さん、本当にご苦労様でした。今後は標本製作や染色法を紹介したいと考えています。また、修了証書も楽しみにね。(英語と中国で書いた精美・精緻のものを考えています。)